FUKUDA SEMINAR
「もっと!」メディア文化論入門
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ここでは講義の内容をより具体的に紹介していきます。
実際の作業の様子も少し載せているので興味があれば覗いてみてください!
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メディア文化論入門
メディア文化論入門は福田ゼミの入口とも形容できる講義です。タイトル通り入門的ハードル設定でメディアについて考えていきます。本講義で教材となるのは映画や音楽、漫画やアニメ、CMなど、私たち学生いわゆるZ世代にとってかなり馴染み深いポピュラーカルチャーが中心です。「メディアなんてさっぱりわからん!」という状態でも問題なく講義を受けることができます。個人的には「講義を受けている」という感覚は薄く、作品の楽しみ方を味変するための「裏技を共有してもらう時間」として堪能する唯一無二感がありました。
講義全般を通して我々学生が行うのは、現代に溢れるとりわけ私たちの生きるメディア環境における「あたりまえ」に目を向け、意識的に疑問を掬い上げるという行為です。私たちが「あたりまえ」だと信じて疑わない、疑おうともしない現代の日常。それが実はメディアによって支えられている「不思議な」日常であると捉え直すことから研究は始まります。
——自分が今まで一度も訪れたことのない国に行ってみたい!留学したい!という気持ちの芽生え。
——通話中、スマホから聞こえてくる「そこにはいないはず」の友人の声。
——山下達郎にBTS、初音ミクやBillie Eilish。あなたのプレイリストに並ぶ錚々たるアーティストの面々。
そんな日常に意識を向け、そこにある「不思議」を感じ取ってみましょう。
——行ったことのない国に行きたいと思うのは自発的な欲求なんだろうか?写真や動画といったメディアに触発されたに過ぎないのでは?
——私たちが話かけているのって本当に友人?それともスマホという電子機器?
——時代や国境を超え、次元までも行き来するアーティストの歌声を連続視聴可能な”音楽タイムトラベラー”であることへの自覚は?
私たちを取り巻くメディア環境によって常態化した「不思議な」日常に目を向け、本ゼミにおいてひとつのテーマともいえる「手前を考える」技術の基盤を、自然なしかたで形成していく。そんな講義となっています。こうした日々の「あたりまえ」に目を向ける行為は、今後社会で活躍していくために必要な洞察力を鍛えることにも結びつきます。「あたりまえ」の手前に気がつける洞察力、いわばアンテナを育むことで、複数レイヤーの視点や考え方が自分のものとなっていく。遠くない未来、それが仕事をするなかで直面する問題を解決する糸口になるかもしれません。この講義では是非ともそういったアンテナ磨きを意識してほしいなと思います。
メディアの特性やメディアの歴史を学んでいく『メディア文化論入門』ですが、ここでいま一度「メディアとはなんぞや」を明確にしておきます。このHPの『Q&A』コーナーでも説明した通り、作品やメッセージ、言葉や身振りにいたるまで、何かを「伝える」「受け取る」ときに介在するすべてのものが広い意味での「メディア」であり、本ゼミで学ぶことのできるトピックとなります。そう言われてピンと来る人は少ないと思いますが、安心してください。冒頭でも少し触れましたが、マンガ、アニメ、映画、音楽、ファッション、アート——入門編では、こうしたポピュラーカルチャーから研究の面白さを感じてもらいたいと思っています。以下では、この講義で取り扱う「メディアの特性研究」と「メディアの歴史研究」の例をそれぞれ紹介していきます。
○例1 音楽分析
まずは「メディアの特性研究」の例として実際にこの講義でも行われた「音楽分析」を紹介します。
皆さんは音楽を聴く際どんなことに注意を向けるでしょうか。歌詞やメロディ、はたまた歌い方だったり、人それぞれ音楽の聴き方は様々かと思います。この講義ではいつもとガラリと角度を変えた音楽の捉え方を用い「学問としての」音楽の聴き方を体験します。
(実際の作業の様子)
主な作業としては、音楽をイヤホンで聴き込んで、楽曲を構成するそれぞれの楽器が奏でる音の配置や、曲中での移り変わりを観察するという、いたってシンプルなもの。シンプルな作業の反面、普段何の気なしに耳へと流れてくる音楽を構成するそれぞれの「パーツ」の配置や音の響きの複雑さを痛感することでしょう。音楽好きはもちろん、多くの人にとって刺激的な体験をもたらす講義のひとつです。
「音の配置」というミクロな視点を用いて、普段から慣れ親しんだ音楽を観察する新しさに出会う。これがあなたを研究の道へと導くかもしれません。
○例2 映画でメディア観察
次に紹介するのは「メディアの歴史研究」の例です。
もうひとつ、メディアを新たな視点で観察する実践として、映画やアニメなどの作品を研究対象とした課題があります。 作中に登場するメディア形態から、選んだ作品の舞台設定がおおよそ何年にあたるかを考察します。正確な考察を立てるために重要となるのは、総務省が提供する白書のデータと自らの観察を照らし合わせるということです。登場するメディア、例えば携帯電話ひとつにしてもガラパゴス式、スライド式、スマートフォンなど、その型式だけでなく、着メロや着うたをはじめとした、令和を生きる私たちには馴染みのない要素も大きなヒントとなってきます。ひとつひとつのヒントを掛け合わせ、より深い考察を以て、設定された年代の特定を目指す。そんな謎解き感覚で楽しみながら課題に取り組むことで、同時にメディア形態が変容してきた事実を実感に近いカタチで理解できるのではないかと思います。
こちらの課題も同様に、なんの気無しに作品を楽しむだけではなく、作中のメディア形態に目を向け、その時代背景にも思考を行き届かせる、といったメディア論的な捉え方を身につける第一歩になります。
画像左 総務省|白書|“インターネットの登場・普及とコミュニケーションの変化”
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd111120.html
画像右 総務省|白書|“携帯電話の登場・普及とコミュニケーションの変化”
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd111110.html
私ごとにはなりますが、この「メディア文化論入門」の講義を受け、本ゼミへ所属する気持ちを固めました。率直な感想として今までの人生で受けてきた授業・講義で最もワクワクを感じられるものでした。もちろんポピュラーカルチャーといったわかりやすい題材が用いられていることや取り扱うトピックに元々興味があったという側面もありますが、何よりも新たな視点を得ることへの高揚感や思考することへのモチベーションは並外れたものでした。学問の面白さに気付かされる。そんな講義であると太鼓判をおさせてもらいます。


